「マインドフルネス」最近よく耳にする言葉です。今現在において起こっている経験に注意を向ける、心理的な過程のことをいいます。「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と説明されることもあります。臨床心理の世界ではこの考えを取り入れた「マインドフルネス認知療法」をはじめ、「ACT」「弁証法的行動療法」などの認知行動療法 第三世代の潮流が生まれています。

日本に古来からある座禅は、このマインドフルネスの状態をつくり、精神を安定させる効果が期待できます。何にもとらわれない無我無心の境地へ。不快な気分に対してオープンでいること、過剰反応しない思考の獲得など、ストレスコーピングのいち方略として有用でしょう。私も寝る前や気持ちが曇っている時など、丹田呼吸で「フーーーーッ」と息を吐いています。妻にため息と勘違いされ、『「ハー」じゃなくて「フー」だから!』と弁明に慌てふためくことが度々あります。マインドフルネス難しいですね。精進します。

「心が大きくなる坐禅のすすめ」中野東禅著
足を組んで腰を安定させ、頭が背骨の上にまっすぐのるように整えます。鼻から息を吸い、口で吐きます。丹田呼吸をします。丹田はへその下10cmのところにあります
寝つけない時は仰臥禅(ぎょうがぜん)。胃の位置に手を置き、息を吸いこむ。手を下腹部に移動させながら下腹に息をためる。一秒息を止め、ゆっくりと息を吐く
「一息禅」には、姿勢を正し、肩の力を抜きます。そして下腹に意識を集中させ、鼻から息をゆっくり吐き、ゆっくり吸います。これを数回繰り返します。吐くときは、心の中のモヤモヤを全部吐き出すイメージです。鼻で吸って口で吐いても構いません


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。