人の成長って何だろう。身体面と精神面のどちらにおいても、私は変化への適応なのではないかと考えている。

エリクソンが提唱した生涯発達理論ライフサイクルによれば、各年代に訪れる課題があるという。人生は挑戦の連続だ。

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それにしても生誕から20歳までに訪れる課題の多いことよ。社会的責任は免除されるが、その代わり自分の内面をつくる責任が課せられている。

エリクソンは青年期(思春期)のアイデンティティの確立を最も重視した。確かにこれには私も苦労した。学童期までは親や勉学など対象物との兼ね合いであるが、青年期からは自分自身つまり実態のない対象を扱わなければならなくなる。

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一方で、中年期(成人期)の危うさを指摘したのはユングだ。彼は40歳を「人生の午後」と呼び、警鐘を鳴らした。

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十代の頃の私は、早く大人になりたい気持ちと、このまま子どものままでいたい気持ちが行ったり来たりしていた。大人になればこの苦しい課題から解放されると思っていた。今思うのは「そんなことはない」ということ。どの年代にも新しい課題が用意されている。現状から逃げずに向き合うことでしか解決できない。

私はいま中年期の真っ只中にいる。これからも沢山の課題が降りかかってくるのだろう。正直めんどうな気持ちだが、変化はあって当たり前、来るんだから仕方がない、来たらその時考えればいい、くらいの構えでいようと思う。

参考:「心理学 第3版」鹿取廣人ら編,2010(東京大学出版会)


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。