読了してわかったことは、他人のこころはわからない、ということ。しかしそれでも、理解しようと努めることは可能です。どういう姿勢で、どんな態度で臨めばいいのか。臨床に携わる心得が記されています。

「人の心はどこまでわかるか」河合隼雄著

カウンセラーは父性をもってなければ、むずかしいクライアントには対処できません。日本人は相手をやさしく包みこむような母性は自然に発揮できます。

要は本気でやっているかどうかだと思います。親、教師、カウンセラーなどが本気で取り組んでいるかどうかは、子ども、生徒、クライアントたちは機敏に察知します。

自信満々の人は絶対にだめです。人の心に対して自信満々になりうるはずがない。自信満々になったら終わりです。

何をもって中堅や老練と言うか、経験を積むしかないでしょう。その経験を自分のものにしていくことで、臨機応変の力や勘も養われます。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。