映画の日に「グレイテスト・ショーマン」を観ました。

子どもの夢、夫婦の絆、男の挑戦、満たされない心、マイノリティの信念、成功とは何か。物語だけならありきたりですが、歌とテンポをまとい、オリジナリティの高い見事な作品となっています。本編まではなんとか耐えたのですが、エンドロール後の特典映像「This Is Me/ビハインド・ストーリー」で一気に涙腺が崩壊しました。感情の化学反応、部屋中に渦巻く力動、喜怒哀楽。ヒュー・ジャックマンの言葉にならない「Ha,」にすべてが詰まっていました。

映画を観ながら、劇中歌「Never Enough」「This Is Me」の、英語ならではの表現の対比が面白いなと思っていました。

「never enough for me」という歌詞。前置詞「for」には方向の意味合いがあります。「外的要素では私は満たされない、満たされないの、誰か助けて」そう聴こえました。対して「this is me」は、自分の内側(コア)から発せられているイメージです。真の自己肯定感は、他者からではなく、自分で自分を認めてあげることで築かれる、このような解釈を持ちました。

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心に刻まれている映画は数あれど、感涙した作品は多くありません。21歳で観た「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」、オーストラリア留学中に観た「タイタニック」、子どもと一緒に観た「映画 STAND BY ME ドラえもん」。その時の自分の置かれている状況や心情とシンクロするとグワーっときちゃいますよね。巡り合わせなのだと思います。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。