浄土宗の僧侶でもある特任教授の講義を拝聴しました。人生の最終段階を迎えたクライエントに対し、臨床に携わる人間はどう在るべきなのか。そのような説法でした。
命とは何か。キリスト教では「Body and Soul」と表現します。身体と魂を二元的に捉えるのが特徴。一方、仏教は五蘊仮和合(ごうんけわごう)。身体、感愛、表象、意思、認識の統合、肉体と精神を一元的に捉えます。
死とは何か。医学的には三兆候がみられること。三兆候とは、自発呼吸の停止、心拍の停止、瞳孔が開くこと。基本的にはこの考え方です。一方、仏教は体温と意識がなくなり捨離されていくところに死があるとしています。四大不調、すなわち地(身体)、水(血液)、火(体温)、風(呼吸)の観点で考え、死を点ではなくプロセスとして捉えます。
尊厳死・安楽死についてのディスカッションもありました。若くして末期の脳腫瘍を患い、YouTubeで尊厳死予告を公開して世界の時流を動かしたブリタリー・メイナード氏。その活動をサポートしたバーバラ・クームス・リー氏のTEDでのスピーチを聞けば、その背景と意図が理解できます。世界で次々と法案化されてきている尊厳死。日本においても近い将来必ず問われる事案でしょう。
国内外で神学を学び、今なお臨床現場で活躍する教授が、この世界に足を踏み入れる私達に期待することを語ってくださいました。心に刻みます。
この世界では、仕事だけできてもダメ。人の想いや願いに寄り添い、共に歩む姿勢が大切
病気や症状を診るだけでなく、人をみること
いのちを扱う医療従事者としての「高い志」と「自覚」
自分自身が死と向き合い、自分なりの死生観を持つこと
自身の身体的・精神的コンディションを保つ。それがプロフェッショナル