9/12-14で幕張メッセで開催された「医療と介護の総合展 メディカルジャパン東京」へ行ってきました。このエキスポは、医療・介護・地域包括ケアに関する展示会とセミナーで構成されています。リクルートライフスタイルのブースでは順番待ち管理システムAirWAITが出展されており、病院やクリニックの運営関係者が興味津々に足を止めていました。エクサウェザーズのブースではR25初代編集長の経歴をもつ私の元上司が関わったフリーペーパー「みんなの認知症マガジン」が配られていたらしい。事前に知っていれば貰いに伺ったのに…残念です。会場風景はこんな感じ↓

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地域包括ケアの実例講演を拝聴して考えたこと

東大の研究員さんと柏市医師会の会長さんによる「最先端!柏市に学ぶ 地域包括ケアの成功例」と題されたセミナーを聴講しました。お二方ともに発起人であり推進者なので、発される言葉ひとつ一つに熱がこもっていました。

地域包括ケアとは、高齢化社会における高齢者の尊厳保持と自立生活の支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援やサービス提供の体制構築を厚労省号令のもとで推進している介護・福祉事業です。システム構築には、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時にすすめることが重要といわれています。

今回のケース、なぜ柏市豊四季台が舞台になったかというと、この地域に住む高齢者の割合が2009年時点で40%を超えていたからだといいます。この状態は40年後の日本の縮図です。2060年の日本は人口8,600万人、60歳以上の割合は50%になると予測されています(内閣府)。

「いつまでも自宅で安心した生活が送れるまち」「いつまでも元気で活躍できるまち」を目指して、東京大学とUR都市機構との共同プロジェクトにしたのがいいなと思いました。取り組みを学術的に検証していく必要があり、官だけだと独解的になるリスクがあるので大学を入れる。住居を考えたときに民間ではなく、ニュータウン団地の再生を課題とするURだったのも興味深い。全国へ拡がっているとのことですが、柏市の完コピではなく、地域の特色を見極めた上での施策になることが課題だと感じました。

心に残ったのは「市役所と医師会の結びつきと事務力の推進力が肝」「在宅医療を主眼に置いた多職種連携が核となり、市民の理解と参加があってはじめて地域包括ケアになる」という2つで、これまで私は心理職として多職種連携にどう食い込むかばかり考えていたのですが、市民の理解と参加へ貢献するポジションもあるなと、ふっと力みが抜けて視界が開けた気分です。図で表すとこんな感じでしょうか。

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24時間体制で困ったときに医師やケアマネさんが助けてくれるという安心感が地域に浸透することで、終末期や認知症等の在宅医療があたりまえの選択肢になる社会がやってくるはずです。この領域の発展の一助となれるよう、力をつけていきます。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。