後期が始まりました。前期の概論レベルから専門領域に踏み込んだ講義が増えた印象です。時間割を書いてみます。

1限9:00-10:30/ 2限10:40-12:10/ 3限13:00-14:30/ 4限14:40-16:10/ 5限16:20-17:50/ 6限18:00-19:30/ 7限19:45-21:15

【月】2限 投影法/ 3限 ゼミ/ 4限 家族心理/ 5限 統計学【火】2限 臨床心理特論/ 3限 教育心理/ 4限 心理査定/ 5限 心理面接【水】4限 老年心理/ 5限 神経・薬理学【木】3-4-5限 基礎実習【金】1限 司法・犯罪心理/ 2限 認知行動療法【土】1限 がん看護/ 2限 がん放射線

投影法の教科書が1万円するんです。この仕事は書籍代がかかるよと先輩や予備校教師に言われましたが本当ですね。認知行動療法は保険適用されている心理療法なので、しっかり身につけたいです。後期はこの他に、いくつかの日曜日に開催される学会の勉強会に参加し、冬からは修士論文の研究が本格始動していきます。それなりの忙しさはあるようです。

前期の授業を受けての感想

学部の授業とは違うなと感じる部分がいくつかあります。

大学院での講義の形式は、教授の講義を拝聴するスタイルあり、教授の投げかけに対してみんなで議論するスタイルあり、生徒によるグループ研究発表で進めるスタイルありなど、扱うテーマや教授の嗜好性によって様々です。どんな形であっても、教授陣の豊富な経験値や、学友24人それぞれの視点から刺激がもらえました。

教授によっては発展学習と呼んでいますが、授業中に出てきた個人的に気になった箇所は自分で自主的に深めることになります。講義では10あるうちの4くらいまでしかやりません。残りの6は4をヒントに自分でやってね、という感じ。深めていくには主体性が必要になる。これが大学院の授業の特徴だと感じます。

心理検査は前期に発達検査・作業検査・パーソナリティ検査を学び、後期に投影法があり、心理療法は認知行動療法・パーソンセンタード・家族療法などの講義があります。その他興味があって自分に必要な検査や療法は、自力で学習する必要があります。私で言えば、高齢者心理の医療・福祉・地域包括を職場にしたいので、検査はMMSEやHDS-Rやコース立方体など、療法は認知行動療法と家族療法以外に、回想法や森田療法を身につけたいと考えています。このほとんどは大学院の教室以外で習得しなければならず、学会の勉強会(有料)に参加します。やはりここでも自主性が求められます。

大学院で学ぶということ

学友たちの大学院に通う目的はさまざまです。学位が欲しい人、修了後の資格認定が欲しい人、第二第三の人生としての位置付け、過去の忘れ物を回収しに来た人、社会に出るまでのモラトリアムの延長、など。自分は職業訓練校感覚で取り組んでいるのですが、最初は24人全員が自分と同じ意識でないことに失望したりしました。しかし、同じである訳がないのです。目的は違えどみんなそれぞれに頑張っている姿に触れ、これも多職種連携の訓練の一環だと考えるようになりました。

大学はとりあえず出ておいた方がいいみたいな風潮がありますが、大学院はその先の仕事を見据えていないと行く意味はないと感じます。逆にそこがしっかりしていれば、こんなに情報に満ちた場所はないです。教員や修了生や学会などのネットワークが構築できますし、そのネットワークが将来の仕事に直結するイメージがあります。

ひと学年25名を受け入れる大学院なので、ケースカンファレンスや実技実習や学外実習のシステムがきちんと構築されており助かっています。今年の4月に建設された校舎は教室が綺麗で設備が最新、図書館の書籍数も充実、学ぶ環境としては最高水準です。ゼミも希望していた教授に指導してもらっており、この学校を選んでよかったと思っています。

社会人との環境の違いは、流れる時間の早さが圧倒的に遅い点。メールが1日に100通届くことはないし、突発的なトラブル対応などもない。だから、目の前の課題ひとつ一つに丁寧に向き合えます。とても贅沢な時間の使い方だなと感じています。現場に出たら時間の流れが毎日の慌しさで元に戻るはずなので、今は吟味と内省を大切に時を過ごしています。

MBAなどの社会人大学院生とは状況が違いますが、社会人を経験してピュアな文系大学院生を始めた身としては、こんな印象を持っています。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。