心理面接においてセラピストは、その場に生じるわずかなサイン(こころや物事の機微)を見逃さずに反応していくことが求められます。お互いの緊張度が高い初回面接では、特に注意を払う必要があります。細かいところまで気になってしまう悪い癖を、私も身につけたいです。
初回面接について調べているうちに、インテーク面接という言葉に出くわしました。大学院併設の心理相談室では、インテーク面接を初回面接と分けて行うことが多いようです。二段構えにした場合のそれぞれのセラピストの目標とクライエントの湯上り感を、表にまとめてみました。
もちろん、インテーク面接でも主訴は聴くし、アセスメントも支援方針も見立てるのですが、やりとり全般に”うちでお受けできる内容かどうか”のフィルターがかかっている、というイメージです。インテーク面接を設けた場合の初回面接では、インテーカーからの引継ぎ情報を頭に入れつつも、今、自分の目の前にいるクライエントに対して、自分の準拠枠を使ってアセスメントすることが重要です。他者情報ではなく、自分を軸に据えるのです。
アセスメントはBPSモデルに基づいて行います。BPSとは、生物(Bio)心理(Psycho)社会(Social)の頭文字で、この3つの観点から複眼的にクライエントの状態や状況を確認します。
例えば、30代男性が職場で最近気分が落ち込んで疲れがとれないと訴えてきたら、甲状腺異常やうつ病の可能性はどうか(Bio)、昔から対人恐怖の傾向をもっていた(Psycho)が、最近マネジャーに昇進して毎日の朝礼で人前で話をするのがきつい(Social)、ということがひとつの要因かなと考えるようなことです。一旦こう置いてみると、支援方針は、内科への受診(Bio)、認知行動療法や森田療法(Psycho)、朝礼の回数を減らす環境調整(Social)などに定まってきます。
何事でもそうですが、3つの視点(支点)があると、収まりがよく、安定感がでてきますよね。
内科の受診などを勧める場合、医師への紹介状を書くことになります。SOAPの観点でまとめると伝わりやすいものになると指導を受けました。心理検査や心理面接の所見作成の際にも有用です。
「虫の目、鳥の目、魚の目」の観点も大切だと感じます。すなわち小さく一点凝視する目、俯瞰して全体を見る目、潮流を読む目です。経験を積まないとなかなかできないことなのですが、クライエントは何かしらの心理的困難を抱えているから来室するわけで、なんとかお役に立てるように、これくらいの理想は自分に課して初回面接に臨みたいと思うのです。