実習先の宿舎でレポートを書いている夜、BGM代わりにつけていたNHKのトーク番組に出演されていた、医師の鎌田實(みのる)氏の言葉。

「にもかかわらず」は魔法のおまじない。

誰もが劣等感を持っている。皆がそれぞれに持っているんだと知っても、それで自分のつらさが消えるわけじゃない。鎌田さんは劣等感のうしろに「にもかかわらず」という接続詞と、ポジティブな自己評価を繋げてみてと提案する。

・自分は容姿が悪い、にもかかわらず、周囲の人に愛されている
・細かい作業が全くできない、にもかかわらず、生活できている
・学歴は低い、にもかかわらず、ユーモアセンスはある

不思議と劣等感のギザギザが円くなる。劣等感が複数ある自分の特徴のひとつに成り下がる感覚。

森田療法と認知行動療法のいいとこどりのような手法にみえる。劣等感を消そうとするのではなく、劣等感は劣等感のままそこに置いておくき、その上で自他一致できる肯定感の高い言葉や事実を並べて、悪いところもあるけど良いところもあるじゃないかとか、何とかやれてきているじゃないかという気持ちを呼び起こす。

「にもかかわらず」は魔法のおまじない。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。