大学院では毎週、ケースカンファレンス(事例検討会)が開かれます。取り上げられる現在進行中のケースには生々しいリアリティがあり、院生にとっては貴重な勉強の場になっています。
昨年は先輩方の報告を聞き、複数人で行う討議を通して、見立てや支援の方法などを学びました。自分自身の偏りを知り、自分とは違う他者の視点を知りました。
先日は報告者として登壇してきました。自分が担当させてもらっているケースの、概要・見立て・援助方針・経過・検討点などをA3用紙4枚にまとめるのですが、これがとても難しい。ただ書くだけなら訳はないのに、焦点化して余分な情報を削ぎ落とさないと良質な報告書にはならないのです。
ここでもまた言葉の影響力を考えさせられました。例えば「自己効力感が低い」なんて言葉は使い勝手がいい一方、抽象度が高くてカバー範囲が広いため、クライエント個人を言い表すぴったり感がなくなります。今回は「自信のない」という表現を用いましたが、専門用語または抽象化と具体化のメリデメを再認しました。
発表後、いろいろな角度からのご指摘やコメントを頂きました。最後、聴講者全員に対して感謝の言葉を述べる際、どうしても自分のことを話したくなっている私がいました。私が今ここにいる経緯、背景、覚悟、意気込みなどが、良くも悪くも今回の報告内容に反映されているように感じたのです。恥ずかしさ、情けなさ、焦り、多少の自己効力感など、様々な気持ちが混じった謝辞になりました。
ケースカンファレンスを通じて感じることは、自分だけではなく、他者からのフィードバックも含めた振り返りが大事だということ。PDCAサイクルはどんな仕事でも必要な工程なんだなと。臨床心理士として世に出た後も、スーパービジョンを受けること、各ケースの振り返りを疎かにしないことを心に刻みました。