年間3万人超だった自殺者数が最近では約2万人まで減ってきた(厚生労働省)一方で、10代の数が増加傾向にあることは気がかりだ。学校での人間関係やいじめ、家庭環境などの困難を口に出すには勇気がいる。なかなか簡単に言えるもんじゃない。LINEなどを活用した支援策を早急に軌道に乗せたいところである。

私の場合は幸いなことに学校や家庭環境で深刻なトラブルを抱えることはなかったが、エリクソンの発達理論でいう思春期におけるアイデンティティの達成にはとても苦労していた。(詳しくは以下のnoteでどうぞ)

https://note.com/embed/notes/nd9ab2719afc1

自分は他者とは違う特別な能力者だと思い込みたいが、どう照らし合わせても凡人もしくはそれ以下である。現実から目をそらし、わずかばかりの自己愛を守るのに精一杯で、傷を負う覚悟などない。将来がみえなかった思春期の頃の私に、今の私が #8月31日の夜に 寄り添うとしたら、なんと声をかけるだろうか。

「そのまま大いに悩みなさい。」

アイデンティティとは私は私であるという実感と言い換えてもよいかもしれない。

むやみに人を傷つけたり、ワルぶいたり、閉じこもってみたり。そうした子どもじみた行為は褒められるものじゃないし、その後ずっと後悔の念に駆られることにはなるけれど、犯罪の一線さえ越えなければいろいろ抵抗してみればいい。頭の中で悩むだけでは決して解は出ないけど、悩みを抱え歩み続けることで自分なりの答えが近づいてくるはずだ。

そのまま大いに悩みなさい。

「考えること、行動すること。」

“所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。”という志々雄真実の言葉は正しい。現世では弱くて死ぬことは滅多にないが、強くなければよく生きれない。強さを創る2つの要素は、考えることと行動することだと思う。

課題感を持ち、丹念に情報収拾し、仮説検証型の実行から解を導き、振り返りをして、次に繋げる。のちに君はPDCA的思考と行動の重要さに気づくことになる。

高校生の頃、通学電車を反対方向に乗って終点の久里浜まで行ったらどうなるだろうとしばしば考えていたが、やってみればいい。同じ授業をサボるでも、いつものように茶店でクダを巻いているよりは、ずっと有意義じゃないだろうか。自分のテリトリーからはみ出てみることは良いことだ。

考えること、行動すること。

「世の中は、想像通りに厳しくて、想像以上に優しくもある。」

人生において理不尽なことは多い。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。現実にはうまくいかないことの方が多い。ただ、悲観する必要はない。君は天才ではないのだから、うまくいくことがあるだけ儲けものじゃないか。そう考えてみてはどうだろうか。

ありがたいことに、こんな自分にも手を差し伸べてくれる人たちがいる。君は仲間に恵まれる。ひとりで悩み抜くことも大切だが、受け止めてくれる他者を頼ることも覚えたほうがいい。

世の中は、想像通りに厳しくて、想像以上に優しくもある。この先も色々あるけど、なんとかなるよ。そのままの身の丈で歩めばいいさ。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。