強迫性障害と聞いて何を思い浮かべますか?
ドアに鍵をかけたか何度も確認してしまう、手洗いがやめられない、潔癖症なんかも近いかもしれません。
強迫性障害とは、不安に端を発した強迫症状により日常生活や社会生活が障害される病気です。100人に1〜4人が経験するといわれます。強迫症状は【強迫観念】と【強迫行為】からなります。
【強迫観念】しつこく浮かんできて、不安や不快にさせる考えやイメージ
【強迫行為】嫌な考え(強迫観念)を打ち消し、安心するためにしてしまう行為
冒頭の例でいえば、ドアの鍵を閉め忘れて泥棒が入るのではないか心配になって(強迫観念)、繰り返しノブを回してドアを開けようとして確かめて(強迫行為)も安心できず、家から離れかけては家に戻るようになって、とうとう外に出られなくなる。病気になるのではないか心配になって(強迫観念)、汚いと思うものを触った後で何度も手を洗って(強迫行為)も安心できなくなり、一日のほとんどの時間を手洗いに費やすようになってしまい、生活が回らなくなる、です。
治療法はいくつかあるのですが、厚生労働省は認知行動療法の暴露反応妨害法を第一選択に挙げています。
強迫症状が進行すると、強迫観念が起こりそうなシチュエーションを避けようとする(回避行動)ようになるのですが、そうすると生活範囲が狭められ、かえって症状も悪化する傾向があります。暴露反応妨害法では、あえて恐れたり避けているシチュエーションに立ち向かい(暴露)、あえて強迫行為を行わない(反応妨害)ことで、不安や嫌な気持ちは自然と下がると学習することを目指します。
ボールを上に投げたら、下に落ちますよね。不安も同じです。怒りであればアンガーマネジメントも同じ原理です。わき起こる感情(衝動)はやがて低まる。これを我が身で実感し会得するのです。
理論はわかるが、やってみると難しい。これが本音です。症状の出方や強迫観念は十人十色で、セラピストの同定力や見立てが効果に影響しまくります。
私の専門領域は高齢者心理学ですが、軸となる心理療法は認知行動療法がいいなと思っています。認知行動療法はクライエントへの適応幅が広く、論理的に理解しやすいところが魅力だと感じています。けどやっぱり奥が深い。クライエントの利益につながるように、研鑚し続けます。