2022.7.xx
こころの病気に対する健康保険のTVCMをよく見かけるようになった。精神病の社会的地位が確立してきたんだなと思う。病気に対する偏見が薄れていく事を願いつつ、患う人が増えたからこその現象が嘆かわしい。

平常をゼロとすると、うつ病などの精神病に罹っている時の体調は、マイナスにあると思う。骨折は明確な痛みとレントゲン写真でマズい状態が目視できるけど、こころの病気は不可視なため、どれほどのマイナスなのか、自他ともに把握がしにくい。病院に行くレベルなのか、単なる甘えなんじゃないか、マイナスな状態を感じながらも、アクションを取りにくいのが実情だ。

そんな時は迷わず心療内科を受診してほしいと願う。こんな状態で受診するなんて!と追い返す医師は皆無に近い。病気というものは押し並べて早期発見・早期治療が鉄則なのだ。回復を願わない人間なんて、この世にはいない。

私の人間観からすると、1から2、2から3へのステップは自分自身でできるものと思っている。ゼロから1と、マイナスからゼロは、誰かの手助けが必要だろうと。ここを一緒にやれるのが、心理士という仕事の醍醐味だと認識している。

カテゴリー: 日乃心記

cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。