2023.2.xx
サッカー選手としての終焉が近づいている。フィジカルもモチベーションも維持できなくなってきた。まあ選手といってもアマチュアの草サッカーなのだけど、それでも7歳から46歳までほぼずっとやってきたものを辞めるということで、様々な心情が沸き起こっている。シンプルな寂しさだったり、後ろ髪引かれる想いだったり、清々しさに似た透明感だったり。

終焉といえば子ども達にも似たような状況があった。2人とも受験の結果が出始め、新生活に向けたムードが生まれる中で幼少時代のモノを断捨離した。娘はぬいぐるみを返納し、息子はモデルガンやゲーム機を手放した。全部は捨てたくないということで、小ぶりな熊と犬、プラモデル数箱は未だ部屋の片隅に居候っている。

1967年に米国の社会学者ホームズと内科医レイによって作成された「社会的再適応評価尺度」がある。これはライフイベントの中で何が大きなストレスになるかを点数化したものである。上位5つのストレス度と項目をみてみると…

1位|100 配偶者の死
2位| 73 離婚
3位| 65 別居
4位| 63 留置所の拘留
5位| 63 親密な家族の死亡

勾留以外の項目の共通点は、今まで当然のように傍にあった大切な対象がなくなるということ…これはとても大きなストレスなのだ。子ども達の反応をみて、また自分自身の感情に触れ、今如実に実感している。

ショックやストレスからの回復は「悲嘆のプロセス」をたどる。このショックは当たり前なんだと知識武装し、経過と共に変化していく感情の移ろいに着目しながら、丁寧に時間をかけて鎮魂していく。やがて収まりがついてくる。そこまでいったら、自然と次への意識が芽生えてくる。

私のサッカーの進退はここ数年考えていたことなので、「いざ」となった瞬間は多少混乱したが、もう踏ん切りはついている。運動習慣は継続したいので、次は未経験の「ロードバイク」「ゴルフ」かな。再び動き出す。終わりは始まりなのだ。

カテゴリー: 日乃心記

cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。