オンライン心理カウンセリングルーム|ココロノカカリ では、こころから生じるお困りごとに対して、臨床心理学に基づいた心理カウンセリングで、解決や緩和のご支援を行なっています。

臨床心理学とひとことに言っても、その中に学派や流派が様々あり、私は認知行動療法を軸とした折衷型カウンセリングの立場をとっています。認知行動療法では届かないトラウマにボディコネクトセラピー、別角度から介入する森田療法、時には夢分析なども織り交ぜます。主訴である困りごとが改善されるならどの手法でもいいのが臨床心理学の良さであり、非科学的だと言われる所以でもあります。ただひとつ、拙い私の臨床活動の中で確信めいた想いがあり、それは基礎心理学が大切である、ということです。その理由は、以下のような点にあります。

科学的理解の基盤

基礎心理学は、心理学の基本的な概念や理論を研究する分野であり、心理現象を科学的に理解するための基盤を提供します。臨床心理学では、クライエントのこころの健康に関わる複雑な問題に取り組みますが、基礎心理学の知識があることで、その問題の根本的な原因やメカニズムをより的確に理解できます。

心理療法の効果の論拠

臨床心理学で使われる治療や介入法の多くは、基礎心理学の研究成果に基づいています。たとえば、行動療法や認知行動療法などの技法は、学習理論や認知理論などの基礎心理学の知見を応用しています。効果の科学的な裏付けがあると、セラピストは説明しやすいですし、クライエントにとっても信頼性が高くなります。

データの評価と理解

臨床心理学では、カウンセリング記録や心理検査の結果など、多くのデータを扱います。基礎心理学の知識があるセラピストは、これらのデータを科学的に評価し、適切に解釈する力が備わっています。統計や研究方法に関する知識は、介入の効果を判断したり、クライエントの進展を見立てる際にも役立ちます。

倫理的配慮の向上

科学的な理解に基づく心理支援は、倫理的にクライエントを保護することに繋がります。基礎心理学の知識があると、クライエントの症状や行動を適切に評価し、誤解や偏見を排除した対応ができます。これは、クライエントに寄り添い、尊厳を守る臨床心理学において重要です。

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臨床心理学に基づいた心理療法は、基礎心理学の科学的根拠があり、これが定数要因となり一定の効果が期待できます。セラピストは自分が使う療法を多角的に理解しておく必要があるでしょう。ただし、効果や結果は環境や人間同士の相性などの変数要因で大きく変わるのも事実なので、腕の磨き所は知識や技術のみならず、見立てや臨機応変さも必要になってきます。

最後に、基礎心理学を基礎心理学として勉強するとつまらないです(私の個人的感想ですが笑)。何事も基礎とか基本って地味ですしね。ただ、臨床心理学や心理療法の基盤として光を当てると、全てが立体的に見えてきて面白いです。このコラム書いてたら、本棚にある心理学概論が目に入りました。読み直してみようかな。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。