「アクティブリスニング」とは、相手の話を受動的にただ聞くのではでなく、能動的な姿勢で相手の立場に立ち、理解し、共感しながら話を聞くコミュニケーション技法です。「傾聴姿勢」とも呼ばれます。相手が伝えたい本質や感情を汲み取って主体的に内容を把握しにいきます。

元々は心理カウンセリングで使われていた技法ですが、昨今ではビジネスシーンにおいても用いられるようになりました。管理職、上司、リーダー、メンターがアクティブリスニングを行うことで、社員育成や社内コミュニケーションの活発化につながります。取引先とのコミュニケーション、営業場面でも効果を発揮するでしょう。

私はアクティブリスニングを34歳で知りました。産業カウンセラー養成講座で何回もロープレ学習があり、その度に講師から「聴けてないわね笑」と助言をいただいてました。出来事の事実確認のみならず、その時の感情や考えたことなども明確化することで、真の意味での「傾聴」になるのだと。言うは易し行うは難しで、最初はなかなか難しいものです。でも、やっていくうちに板についてきます。ぜひ試してみてください。

理解していることを言葉で伝える

話を聞いていることを積極的に示すために「うん」「なるほど」「それで?」など、言葉で相槌を打ちます。話が進んできたら「〇〇があって、かくかくしかじかとなったのですね」と要約して、理解の共有を図ります。

表情や態度でリアクションする

言葉だけでなく、アイコンタクト、うなずき、少し前のめりになる姿勢などで、真剣に話を聞いていることを積極的に示します。相手の話に対し「それはすごいですね」「その問題は大変ですね」など、感情や理解を示す反応を返すことで、相手は共感されていることを感じることができます。

具体的な質問をする

「その問題はいつから発生していますか?」「誰と協力しましたか?」など、具体的な質問を通して、相手が状況を整理して話しやすくするのも効果的です。深掘って、解像度を高めて、共通の景色をみている状態に近づけたいです。

感情を読み取る

相手が言葉にしにくい感情を理解しようとする姿勢も大切です。表情や口調から感情を読み取り、「何か不安なことがありますか?」など、感情に寄り添った質問をすることで、安心感を与えます。

相手が使った言葉を使う

「つまらなかったんですよ」に対して「楽しくなかったのですね」だと気持ちや感覚がズレてしまいます。「つまらなかったのですね」と同じ言葉を使った方が理解されてる感が増します。

オープン・クエスチョンを使う

「どう思いますか?」「それについて、もう少し詳しく教えてもらえますか?」など、相手が自由に考えを表現できるような(YES/NOで回答できない)質問をすることで、より深いコミュニケーションを促します。

否定ではなく肯定から入る

相手の意見や感情をすぐに否定せず、受け入れる姿勢から始めます。異なる意見があった場合も「それは面白い視点ですね」など、肯定的に捉えたうえで自分の意見を伝えると良いです。フィードバックする際も「その意見はとても参考になります」「あなたの視点には気づきませんでした」など、相手の発言を尊重していることを伝えます。

沈黙を守る

話の途中で間が空いても、相手が考えをまとめる時間として尊重し、沈黙に耐える姿勢を見せます。急かすことなく、次の言葉を待ちましょう。相手のペースにこちらが合わせるイメージです。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。