会社員を17年間して、大学院で2年間修学し、病院等で5年間臨床した。2024年からは個人事業主として雇用されない働き方を開始し、まもなく1年が経とうとするこの時期に、少し振り返りをしておこうと思う。
競合差別化
私の心理士としての価値は、会社員経験があること、3社で複数の職種や職位を経験していること、人事経験があること、産業心理、認知行動療法にあると思っている。心理だけではなく事業や人材の観点を交えるところに競合優位性がある。40歳でのリカレント教育や高齢者心理の造形が独自性や深みをもたらしている。本当はもっとシャープにするべきなのだが、まずはここに置いている。
予約と面談
オンライン心理カウンセリングルームのMVP(Minimum Viable Product)は、予約と面談の機能である。まずは最小限の時間とコストで価値を提供することから始めようと思い、外部サービスの活用を決めた。
ECサイトはMOSHを利用している。理由は、数社と比較検討した結果、時間売り商品の管理が一番しやすそうだったことと、UIがシンプル動線で予約しやすかったから。サービス紹介の画面は手前味噌ながら上手に訴求できていると自負している。リクルート「じゃらん」や「ゆこゆこ」で培ったノウハウが役立ってる。人生に無駄はない。
面談ツールはZoomを利用している。通信が安定しているし、日程変更してもURLが変わることもなく、普及率も高く、一番トラブルになりにくいと判断した。
どちらも有料だが、品質に満足しているので、2年目もこの体制を継続する。
流入の難しさ
売り上げは、残念ながら当初の想定を大きく下回っている。原因は流入にある。
心理カウンセリングは信頼商売である。どこぞの馬の骨には秘め事を打ち明けることはできない。その信頼を得るためには、おそらくSNSなどの空中戦プロモーションだけでは無理だ。カウンセラーをひとりの人間として実体として認識してもらわないといけない。地上戦が必要だ。自分は何者なのかを文字と写真だけでなく、温度が伝わる形で届ける必要性を感じている。2年目は、SNSでいえば動画、あとはセミナーや企業相談などリアルで触れていただく機会を増やしていく。
複数の収益柱
二の矢、三の矢を用意しておく。オンライン心理カウンセリングルームの安定収益はもう少し時間がかかるだろう。2年目は副業にも力を注いでいく。複数の企業と従業員のメンタルヘルス保全への貢献で契約する、セミナー登壇や講師業を増やす、検査の腕を落とさないために治検業務を入れる。自分自身が愉しめる興味関心のある仕事を増やしていく。
心理臨床は飽きない
個人事業主としての一年目の通信簿は、総合性は2の評価。落第じゃないけど3はつけられないかな。まず、経済性は1の評価。売上は急務で、自身の生活を安定させなきゃいけない。将来性は3の評価。やってみて、課題は多かったものの、できたことや想定通りのことも多々あった。軸をぶらさずにレジリエンスを発揮しながらPDCAを回していけばなんとかなる見通しは持てた。やりがい性は5の評価。誰の指示下にもない労働環境は、当然プレッシャーはあるものの、それを上回る素晴らしさがあった。
いくらやっても臨床は飽きない、今年もこの状態だったことが嬉しい。事業改善を繰り返して、提供価値を高めて、経済的な安定も目指す。愉しみながらも2年目でひとつの到達点まで登りたいと思う。