何かとせわしい4月を終え、GW連休で一息ついてる今日この頃。5月以降も心地よく仕事をしていくために、メンタルヘルスのセルフケアを考えてみませんか。

社会人が自らのメンタルヘルスを維持するために、セルフケアとしてやれることがあります。以下を参考にぜひ試してみてください。セルフケアでは歯が立たない感じがしたら、病院や専門家に繋がりましょう。

1.生活習慣を整える

メンタル(精神面)だろうがフィジカル(身体面)だろうが、健康という文脈で確実に外せないのが生活習慣です。

まずは充分な睡眠から。人によって”充分”の定義は異なるものの、起き抜けのスッキリ感だったり、日中に強い眠気が襲ってこない感じであれば、それがあなたにとって充分または適切な睡眠なのかもしれません。量でいえばおよそ7〜8時間が理想とは言われています。「寝溜め」は存在しないので、1日1日の睡眠を大事にします。

食事は栄養バランスを心がけましょう。”メンタルにはこの栄養素!”みたいな踊り文句がありますが、結局は色々な食べ物を、美味しく楽しく頂くことに尽きるでしょう。誰と食べるかも向上させる一要素です。

運動しましょうね。週1の大掛かりな運動もいいのですが、毎日の軽運動(ウォーキング、ストレッチ、ヨガなど)も必要でしょう。5〜10分の運動時間がとれないほど忙しいのであれば、それはせわしすぎです。”忙しい”は「心を亡くす」と書きます。仕事と生活のバランスを見直しましょう。

2.ストレス管理の習慣を持つ

呼吸法瞑想を習慣化します。マインドフルネスはストレス軽減に効果的であると、さまざまな調査から明らかにされています。

ポジティブ3行日記(その日よかったことを3つ寝る前に書く)、できたこと3行日記(その日できたことを3つ寝る前に書く)、または通常の日記など、書くことで想いや感情を言語化し、気持ちを整理する方法もおすすめです。ジャーナリングは書く瞑想とも言われ、心象に表れる事柄を徒然に書いて外在化するとで、頭の中でのグルグルを阻止し、こころを浄化する効果が期待できます。可視化・明確化することへ恐怖や抵抗があるなら、最初は専門家のサポートを受けながら実施してみてはどうでしょう。想いが溢れすぎない予防線を張るのです。

その他、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、自分なりのリラックス環境をつくることも大切です。

3. 認知変容で感情をコントロールする

認知、つまり物事の捉え方を変容させることで、感情統制が可能になり、メンタルが安定します。

一番最初にやりたいのが、できる事/できない事 を分けることです。できない事やコントロールできない事で悩んでも仕方がないと、諦めることを目指します。「あの時の一言であの人を不愉快にさせてないだろうか」「皆が満足する基準でプレゼンしなくては」これらはすべてアンコントローラブルです。他者や外界を認知の軸にしてしまうと、自分の感情が振り回されます。他者の中にあるであろう軸は不可視、つまり「よくわからないもの」だからです。”他者が気になる”という自分の認知傾向を受容し、自分が今できることに一意専心してみましょう。意外とうまくいくものです。

完璧主義をやめる(7〜8割の出来で良しとする)とか、ネガティブな思考のクセを見直す(「どうせ無理」ではなく「まずは試してみよう」と考える)とか、認知の偏りを柔軟化させることもメンタルヘルスに効きます。ここはセルフでは難しいので、認知行動療法に長けた専門家と一緒に取り組めるといいと思います。

4. コミュニケーションを工夫する

誰かに話しましょう。家族、友人、会社の人など、信頼できる他者に悩みを相談すると、問題自体は解決しないかもしれませんが、こころはかなり軽くなります。こころに掛かる負担の片棒を担いでもらえるからです。持ちつ持たれつということで、自分が元気なときはその人の困りごとの片棒を担いであげましょう。これで貸し借りはイーブンです。

人に話せる人が真の強い人です。話せない自分は弱っている証拠です。関係性のある人がはばかられるなら、第三者の専門家でどうでしょう。契約関係で縛った専門家はその枠内で誠心誠意あなたに向き合ってくれるはずです。

他者とのコミュニケーションで気をつけたいことは、相手の不機嫌に付き合わないことです。自分は自分、人は人です。自分と他者との間に明確な線を引けるようになりたいですね。認知行動療法を通じて自分の中にメタ認知が育ってくるとできるようになります。

ポジティブな人との交流を増やしましょう。前向きな人と話すと自分の気持ちも変わります。朱に交われば赤くなってしまうのが人間です。不機嫌には付き合わないけど、上機嫌には付き合いましょう。

5. 仕事の進め方を工夫する

タスク管理を工夫します。例えばTODOリストを活用し、優先順位を明確にする、などですね。”優先順位”の定義などもサイトや書籍で色々と紹介されているので、まずは一回やってみることです。自分に合わなければ、別のやり方で試してみればいいのです。合うやりかたがどこかにあります。

あと、仕事終わりに、明日やることを全部書き出して明日の自分にバトンを渡して今日の仕事を終えるのはおすすめです。私は会社員時代からずっとこれをやっています。明日のことは明日の自分に託すのです。これをすると今日この先の自分は明日のことをあれこれ考えないで済みます。仕事のノートをパタンと閉じてしまうイメージですね。ケジメをつけてメリハリを持たせることで、夜の睡眠にもいい影響があるでしょう。

こまめに休憩をとりましょう。人間の集中力なんてたかが知れてています。人間の力を過信しないこと。せめて90分ごとには休憩を入れましょう。結果的に長時間の稼働が可能になります。

長期的に安定したメンタルヘルスを目指するのであれば、NOと言う勇気を持つのは必要なことです。無理な仕事は引き受けすぎない。NOと言うことであなたの価値が下がることはありません。アサーション技法の代替え案などが交渉時には役に立ってくれるでしょう。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。