「ストレスからの逃げ癖を改善したいのですが、何かいい方法ありますか?」先日このような質問をいただきました。
まず前提として、逃げったっていいんですよ。それも立派なストレスコーピングです。ただ、そればかりになると、逃げきれない状況では無策になり、ストレスの直撃を喰らってしまいます。なので、逃げる以外のストレスコーピングをいくつか開発しておけるといいですね。
さて、ストレスからの逃げ癖(回避傾向)を改善する効果的な心理療法があります。以下の方法は、特に回避行動に対して有効だとされています。
認知行動療法(CBT)
CBTは、思考パターンと行動を見直すことで、ストレスへの反応を変えていく方法です。逃げたい気持ちや回避行動が出てきたときに、なぜそのような反応をするのかを探り、現実的な解決策を見つける訓練を行います。特に「行動活性化(Behavioral Activation)」と呼ばれる手法は、意識的に活動を増やし、回避行動を減らす効果があります。
マインドフルネス認知療法(MBCT)
マインドフルネスを取り入れることで、ストレスの原因から「逃げようとする反応」を抑え、現状をそのまま受け入れる力を養います。例えば、「その場の感情や思考に集中し、否定的な感情をただ受け入れる」練習を行います。これにより、ストレスに対する逃避ではなく、冷静に対応するスキルが身に付きます。
曝露療法(エクスポージャー)
曝露療法は、ストレスや不安を感じる状況に少しずつ触れさせる方法です。恐怖や回避したくなる場面に段階的に慣れていくことで、回避傾向を軽減する効果があります。例えば、少しずつその場面に関わることで、不安が下がっていく体験を積み重ね、ストレスへの耐性をつけます。
弁証法的行動療法(DBT)
ストレスを管理する対処スキルが身につきます。特に情動調整や対人スキルに重点を置いており、衝動的な回避反応を減らすための方法が学べます。また、DBTはストレス管理だけでなく、回避したい場面でどのように行動すべきかを段階的に指導するので、具体的な行動変容が促されます。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
ACTは、ストレスや不安は避けるのではなく受け入れる、というアプローチです。ストレス状況下でも、自分の価値観に沿った行動を取ることを目指します。ACTでは、受け入れと行動の両立が強調されており、「ストレスを避ける」のではなく、「ストレスと共に前進する」ことを学ぶ点が特徴です。
スキーマ療法
スキーマ療法は、幼少期からの思い込み(スキーマ)やパターンが回避行動にどう影響しているかを探る方法です。たとえば「自分はどうせ失敗する」という思い込みがあると、挑戦を避ける癖がつくことがあります。これを認識して新しいスキーマを築くことで、ストレスへの対処が改善されます。
いずれも専門家のサポートのもとで行うと効果的です。まずはどれが自分に合いそうか考えて、少し試してみるところから始めましょう。