勤めていた二箇所のメンタルクリニックのひとつを退職することにしました。ここでの仕事を通じて心理士としての幅を広げることができました。自分の希望以上に様々なケースや検査やプログラムを担当させてもらえたことに感謝しています。

というわけで現在、就活中でございます。

やっぱり就活って大変ですね。履歴書かくのも面接するのも不採用の連絡を受け止めるのも、パワーがないとできない。書類選考で落ちたり、面接で断られたり、特に不採用の連絡はズドンと堪えます。

不採用という形で「拒否」されるとつらい。当然ですよね、こちらは採用される前提で動いているので、ダメだと言われたらそりゃショックです。何が悪かったんだろうと、数日間引きずることもしばしばです。まあ、こっちが悪いことなんてないんですけどね、結局はマッチングの問題なので。けど、落ちしてまうと、やっぱり自分の何かが良くなかったんだと、自分自身に原因帰属させがちです。

先日の面接では、相手が求める覚悟と自分の思惑が見事にアンマッチしました。事前調査が甘かったと言えばそれまでなのですが、行ってみないとわからない温度感ってのがあります。この領域はこの水準を求めてくるんだなと素直に勉強になりました。高い報酬額にはそれなりの理由があるわけです。

面接官が発する言葉の影響力にも改めて気づかされました。向こうは悪気なく自分の言葉でしゃべっているんだろうけど、結構グサグサえぐられるもんだなと。企業勤めの時は人事部で採用する側だったので、今更ながらに思い返してしまいました。あの時の俺はちゃんと言葉を選べていただろうか、求職者に対して言葉で無駄に傷つけていなかっただろうか、なんて。今やっている心理臨床の仕事は、言葉の仕事とも言えます。注意深く自分が発する言葉に責任を持たなくては。

結論、すべてが学びだなと。就活は今まで覗いたことのない世界に首を突っ込める絶好の機会です。結果も大切だけど、過程も勉強になるのです。不採用からまた始めよう。まだここにない出会いを求めて。百発百中なんてありえないし、凹んでいても仕方ないですしね。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。