NHK「SWITCHインタビュー 達人達」が好きです。その道で磨いてきた達人たちが、双方に敬意を表しながら、自分の想いや考えを語り合う対談番組です。
前回に出演された谷昇さん(フレンチ料理人)の一流論にシビレました。
センスを持って生まれた一流の人が高まれば超一流です。僕は二流です、残念ながら一流ではなかった。二流の人はどんなに頑張っても決して一流にはなれません。ただね、弛まぬ努力と飽くなき研鑽で、超二流にはなれる。僕は”超二流”はただの一流より上だと思ってるんですよ。(谷昇)
謙虚さと自信、恥と誇りが入り乱れる、達人の達人たる考え方。
これは私の妄想ですが、氏も自分がどれ程のものか分からなかった頃は、それこそ頂点を目指して走っていたと思います。走り続けたからこそ、ある時に一流ではない自分がみえてきた。絶望、否認、迷い、あったでしょう。一方で身につけてきた技術、実績、誉れもあったはず。物事の捉え方に幅と柔軟性を持たせることで、否定と肯定を自分の中に共存させたのだと勝手に想像しました。
隣の芝生は青く見えるわけで、ひょっとしたら本当は”一流の人”なんて世の中に一人もいないのかもなと。一流でなかったことを嘆くより、二流を認め、ただひたすらに己の道を邁進する。脇目の芝生は凄く見えるけど、自分の足元に生える芝も捨てたもんじゃない。そう考えられる人に、私もなりたいです。