精神病薬についてコメディカルの私にもわかりやすく解説してくれています。印象に残った漢方の章から数文引用させてもらいました。医食同源の東洋医学、漢方の考え方って面白いですね。「とにもかくにも葛根湯」はある意味正しいらしく、鼻炎や頭痛など炎症で熱が出るような急性の病気の初期に広く使われ、効果を発揮するんですって。風邪に限らずもっと頻繁に飲んでいいんだな。

「精神疾患の薬物療法講義」功刀浩編(2013)

漢方の治療原則は漢字にすれば、たった八文字「虚則捕之、実則瀉之」。虚(きょ)すれば則(すなわ)ちこれを補う、実(じつ)すれば、則(すなわ)ちこれを瀉(しゃ)す。つまり、虚症(あったほうがいいものの不足)のときは、それを補えば良いのですし、実証(ないほうがいいものが存在しているとき)はそれを取り除く…ということに集約されるのです。

治療に当たるとき第一に考えることは「病名」ではなく「証」なのですから、〇〇病だから△△湯という発想は彼らには全くありませんでした。

異病同治・同病異治
異病同治とは、異なる病気でも証が同じであれば同じ治療をすればよいとの意味。同病異治はその反対で、同じ病気・一人の患者でも、治療はワンパターンではいけないとの意味です。

因地(いんち)・因人(いんじん)・因時制宜(いんじせいぎ)
前項の異病同治・同病異治をうまくやるための方法論ともいえましょうが、土地風土により、患者の個性により、時(季節・ご時世など)により、治療法を柔軟に考えるべしとの教えです。

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cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。