エルメス、カルティエ、ルイ・ヴィトン……素敵ですよね、品があって触り心地が良くて。良くないのは値段だけです笑。
表参道や銀座を歩いていると、たまに高級ブランド品で全身フル装備した人に出くわします。ワンポイントくらいに収めたほうがお洒落なんじゃないかと思うのですが、なんで彼らは似合いもしないのにゴテゴテに着飾ってしまうのか。臨床心理学の視点から考えると、こんなことが言えるかもしれません。
栄光浴
ひとつは栄光浴という解釈。栄光浴とは、評価の高い集団や関係の中に所属することで、自己評価を高めようとする心理です。高級ブランド品を身に纏うことで、上流階層の人間になった、自分のステータスが上がった、と錯覚できるのです。
補償
もうひとつはユングの防衛機制でいう補償行為という解釈です。
人の「意識」と「無意識」は相補関係にあり、こころの全体的な調和を保っています。意識の態度が強く一面的になる時は、無意識にそれを相補う働きが生じます。この働きが防衛機制です。補償とは、こころが欲求不満に陥った時に、他の行動をすることによってその不満を補おうとする試みです。
補償行為の例を挙げてみましょう。
●英語が喋れないのに無駄にカタカナ言葉を使って英語に強いと思わせようとする
●勉強ができない劣等感を、スポーツの活躍で補おうとする
●容姿に自信がないので、勉強で学年トップを目指す
ああ、書いていて、自分にも思い当たる節があるなあと笑。第二新卒で大手企業に勤務し始めた頃、社内で飛び交うビジネス英語を半理解で真似して使っていたことを思い出しました。岡崎体育の歌詞の「タスクのニーズがアライアンスしてイニシアチブもソリューション」が他人事と笑えません汗。
ブランド品の話に戻りますと、例えば自分の能力や才能に自信が持てないけど、お金は持っているという場合は、劣等感の不満の埋め合わせに、お金持ちをブランド品に置き換えて、わかりやすく表現しているといえます。
けれど残念なお知らせなのですが、劣等感というのは、他の何かで埋め合わせることはできないものです。解消方法は、劣等感を抱いている自分を受容し(自己受容/自己肯定感)、それでも自分はなんとかやってこれたしこの先もやっていけるだろう(自己効力感)と思えるようになることのみです。この境地に辿り着く道は、人それぞれに違くて絶対解がないから険しいのです。
参考までに自己肯定感と自己効力感についてもどうぞ。
https://note.com/embed/notes/n8568ef9a3088
栄光浴や補償行為ではない、純粋に良さを理解した時に、高級ブランド品はその人の雰囲気に自然と収まるようになるのだと思います。
参考:「面白いほどよくわかる!見ため・口ぐせの心理学」渋谷昌三著(西東社)