悩みは何から生まれ、不安はどこからくるのでしょう。

悩みは「欲求」から生まれます。「うまくやりたい」「あれが欲しい」などの理想を持ち始めると、現状とのギャップに悩み始めるのです。

不安は「過去」や「未来」からやってきます。過去の出来事を思い返したり、未来を案じることで不安が生じます。過去は変えることができないし、未来は何が起こるかわからない。そうした自分の範疇を超えた部分に、不安は潜んでいます。

思い考えると悩みや不安が現れます。パスカルは云いました、「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」と。思考する存在である人間は、それを武器に自然界を生き抜いてきました。しかしそこには弊害もあったのです。

生きていれば悩みや不安はつきものです。悩みや不安を完璧に100%解決または払拭しようとするとドツボに嵌ります。欲求をなくすことは不可能ですし、過去を変えたり、未来を自分の思惑通りに進めることも不可能です。悩みや不安がなくなることは、ないのです。

だからといって、絶望する必要はありません。対処法はあります。マインドフルネスは実に多くの気づきを与えてくれます。

マインドフルネス

私たち人間は何をする時にも様々なことを思ったり考えたりして、状況を複雑にし、悩みを深めていきがちです。そのように「思う」「考える」といった心の働きが余計なことをせず、何事もシンプルに捉えられるようになれば、思い悩むことは減るはずです。心がそうした状態になることをマインドフルネスといいます。心がフル(完全)に働いているという意味ですが、具体的には「気づく(認識する)」機能が十分に発揮されていることを指します。

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「思う」「考える」の状態はドゥーイング・モードです。瞑想をスイッチにして、ビーイング・モードに切り替えていきます。

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瞑想はレーズントレーニングから始めるといいでしょう。ケーキやビールでは難しい理由は、それに対してこころが踊ってしまうからです。レーズンには悪いですが「待ってました!レーズン!」となる人はほぼいないでしょう笑。丁寧にそこに注意を向けていられます。

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マインドフルネス瞑想の基本は「感覚に気づくこと」であり、その結果「考えに反応しないこと」です。この仕組みを理解して感覚に意識を集中していれば、考えにコントロールされなくなります。続けていれば、考えは必ず止まります。

マインドフルネスがアメリカを中心に流行し始めたのが2007年頃です。その後日本でも一時ブームになりましたが、最近では下火になったと感じます。効果を実感できなくて止めた人が多いのではないでしょうか。瞑想のゴールは「できる」ではなく「する」です。成功することを目標にしないことが大切です。結果的に考えにコントロールされなくなるだけで、それを目標にしないことです。「ただ気づくこと」そこに集中して、穏やかに根気よく継続していきましょう。

参照:「マインドフルネス瞑想がよくわかる本」有光興記監修(講談社)2017

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cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。