ストレス、それ自体は良いものです。これ、意外と知られてないのですが、ハイ・パフォーマンスを目指すなら、適度なストレスが必要なんです。無音状態の個室で作業すると、逆に集中できない時とかありませんか?興味関心が高い事柄ならどんな環境でもやれますけど、そうではない作業時には、適度な雑音や人っ気などがあったほうが集中力が増すのです。面白いですよね。

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しかし、過剰ストレス状態になると、生産性は低下します。

以下のような心身症状がでてきたら要注意です。早めに心療内科へ行き、医師と共にコンディションの確認をしましょう。休息、投薬治療、環境調整、心理療法など、回復に向けて行える手段はたくさんあります。初期段階であれば行動がとれます。進行してくると気力や思考力が低下して動けなくなってきます。早め、早めの対処が大事なのです。

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このような状態に陥ないために、ストレスとの付き合い方を考えなければなりません。ストレスの基にうまく対処しようとすることをストレスコーピングといいます。ストレスコーピングは感情問題軸と積極消極軸の4象限で分類したりします。どの対処法が良くてどれが悪いというものではありません。多くの対処法を持つ、自分に合った対処法を持つことを目標にしたいです。

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ストレス源から逃げたって良いのです。「問題優先消極タイプ」の対処法を「逃げ」だと恥じる方がいます。それで症状が出ない/治まるなら立派な手法じゃないですか。ただ、その一手しか持っていないと、逃げ切れない状況もあるかもしれません。回避以外の手法を探しておくことは重要です。

現代社会において、ストレスから逃れることは不可能です。まずはゼロ・ストレスで生きていくことはできない事実を受け入れましょう。ストレスコーピングをたくさん持っている、自分に合ったストレスコーピングがあるということが安心感や自信を生みます。自己効力感を発揮して、ストレスと上手に付き合える人になりたいものです。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。