OTL(Online Teamlet Learning / Over The Limit)と名付けたピア・スーパービジョンを1ヶ月半に1度の頻度で行っています。基本的にはオンラインでの実施で、ただ5月は新型コロナウィルス感染者数が減少していたこともあり、発足1年半にして初めての対面開催となりました。勉強になったし息抜きにもなった気がします。すげえ楽しかった。

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https://note.com/embed/notes/nf9f7c7229c82

オンライン会と対面会、両方やってみて、それぞれにメリデメがあるなと。

オンライン式の最大のメリットは、場所移動しなくていい点ですね。時間の有効活用という観点から、移動時間の削減は大きな魅力です。懸念点は、画面という一枚膜のせいで、機微や場の空気を捉えにくく、遠慮や畏怖から自由活発な議論になりにくいことでしょう。あとは上では移動時間の削減はメリットといいましたが、場所の移動って切り替えのスイッチになるんですよね。それがなくなるというのはデメリットにもなり得るということです。急速にオンライン化が進められたころ、心療内科のカウンセリングに、オンオフ切り替えられなくて日常が苦しいと訴える方が多く来院されました。ひとつの場所で完結するのはメリットでありデメリットでもあるということです。

対面式のメリットは、アジェンダ以外の話に花が咲きやすく、無駄じゃない無駄話で奇想天外なアイディアが生まれたり、想定の枠を超えていく点にあります。この感じは対面式に特有な気がします。おそらく私が対面式ネイティブ世代だからでしょう。脳がこの形に慣れているのです。オンラインネイディブ世代はオンライン会合でこの感覚になるのでしょうね。

さて少し話の矛先を変えて。2022年5月にHondaが「原則出社の指針」を発表しました。

ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 | 経営「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すtoyokeizai.net

Hondaには「三現主義」つまり「現場」「現物」「現実」を大切にする企業文化があります。原則出社は「リモートではこれが実現できないから」ではなく、まずは基本は何かを定めて、その上でオンラインを上手に使いましょうという意思の表れだと受け取りました。

一時期、コロナ禍という社会的背景を契機に「今後はオンラインが基本になる」みたいな思潮がありましたが、全てがオンラインに取って代わる訳ではありません。AIの出現時も似たような議論がありました。手段が増え、選択肢が広がる、という話です。対立構造や二者択一で考えないことです。

自分たちが大切にしたい価値観があり、時流にあった手段があり、やりながらふるいにかけていく。これが基本です。食わず嫌いで手をつけないのはもったいないです。いいものが取り込めれば効率化や自己成長につながるのです。柔軟性を持ち続け、なんでもやってみる姿勢を大切にしたいものです。

仕事だけじゃなく、生き方も同じですね。

OTLは今後もオンライン式を基本に、安全に実施できそうな時は、対面式でも行っていきます。我々の恩師や多方面で活躍している同僚をゲストに招いたり、共同研究をしたりなど、活動の幅を少しずつ広げていければと思っています。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。