日経電子版に、ファストリが従業員の賃金を引き上げるという記事があった。世界的インフレや円安の影響による物価上昇に対し、政府は経済界に対して賃金上昇を要請している。ファストリは旗振り役なのだ。
柳井さんの「25歳をすぎれば人間は一緒だ」という言葉に目が止まった。報酬制度において、過去の延長線上にある思考停止な年功序列は廃止し、成果に則した実力主義を徹底するという。賛成だ。年齢を重ねた既得権だけで高給をとるのはおかしい。年齢に伴う経験や実績を活かして成果を出し続ける人もいれば、活かさずにあぐらを掻いている人もいる訳で。成果に対して相当の報酬が与えられる社会であってほしい。
年齢が上がればその分経験値が積まれる。ここに疑問を抱く人はいないだろう。私は今、心理士として心療内科で高齢者デイケアも運営しているのだが、歳を重ねることでしか醸せない気品をもつ方々と多く接している。酸いも甘いも受容して、凪のような落ち着きがある。周囲に忖度せずに、真っ直ぐに生きる姿にうっとりしてしまう。
エリクソンのライフサイクル生涯発達理論によれば、年代ごとに人生から突きつけられる課題があるという。勝手な想像だが、意識してか無意識かは別としても、素敵さを持つ人は、この人生課題を乗り越えてきた人たちなのだろう。
私の年齢でいえば成人期にあたる。世代性の課題はまだ感じていない。成人前期と成人期の間くらいにいるのだろう。50代、60代、70代と心理士として現役を続けていきたい。その過程で次世代への伝達のテーマが突きつけられるのかもしれない。老年期の課題は、想像はできるが、実感値が湧かな過ぎて、遠い存在に思えてしまう。
日々の仕事を通じて、人生の先輩方との接点の中で、私も自我の統合を目指していく。