SNSでよくこの手の投稿が目に映ります。どこのどなたが一次情報なのか判らないものの、やはり訓示ってこころに響くので、心理学エッセンスを交えたコメントと共に紹介します。

手を抜くのではなく、力を抜くの

これはハッとしますね。”手を抜く”と言うと慢心や怠惰の印象ですが、”力を抜く”では肩肘張らずに全力で挑む印象になります。力を抜くには、ある程度の準備を行い見通しを立て、直前には”あとは野となれ山となれ”と潔く開き直る「気持ちの切り替え力」が必要になります。結果を意識するよりも、今目の前で起こっていることに全集中で取り組むこと。やるのは結果のためなんだけど、結果はおまけだと思えるか。評価は「やり切れたか」で下し、結果での評価はしたくないですね。結果は自分の力以外の変数が加わるので、正確な評価にはならないので。

人間関係は鏡よ、鏡は先に笑わない

自分が先に笑いましょう、ということですね。心理学には「返報性の原理」というものがあります。人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くものです。他者に期待したり委ねるのではなく、まずは自分から変わっていきましょう。

人生で一番もったいない1日は、笑わなかった日よ

浦氏は講演の中でデータとともに「よく笑う人は、よく笑わない人よりも、わずかではあるものの、心身ともに健康である」と述べており、私の経験値、すなわち多くの高齢者と病院のデイケアで2年間一緒に過ごした経験からも、これは言えることではないかと考察しています。笑いましょう。

大変なときは、大きく変われるとき

言われてみれば「大変」という漢字は「大きく変わる」と書くのですね。今までの手法で解決できないから大変な状況になるわけで、その大変の壁を乗り越えるには新たな手を試行錯誤していくしかなくて、結果として大きく変わることができるのだと思います。あれこれと先のことを邪心せず、目の前の「大変」に全力で挑むことが大切なのでしょう。

自分が正しいと思うことをしなさい、何したって批判されるんだから

「みんな違くてみんないい」という多様性社会では、批判や対立意見への免疫を高める必要があります。立場が違えば、自分とは異なる意見が出てきて当然です。創造は対立や矛盾から生まれます。これからの世の中で生き抜くために、「批判」というものはどういうものかを、自分の中に、自分の言葉で落とし込んでおく必要があると感じました。

たまには下を向いていいんだよ、綺麗な花が咲いてるから

みんな「先をみすぎてる」と思うことがあります。巷に情報がありすぎる弊害なのですが、近年は先がみえる錯覚に陥りやすい社会になっています。一寸先は闇、未来は平等に誰にも確約されていません。我々ができるのは、今を生きることだけです。今この瞬間だけが現実で、自分のコントロール下で何かをできるのは今という時間軸だけなのです。一歩一歩、足元見ながら進んでいきましょう。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。

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