2024年4月から会社勤めを始める新社会人に向けた心理士勉強会の準備をしています。心理士がやる意味を考えて、内容はメンタルヘルスやコミュニケーションが中心なのですが、17年間を会社員として過ごし、新人教育を含む様々な職種を経験した私だからこそのメッセージも用意しました。
できなくて当然
これは私個人の実体験なのですが、最初の会社には、根拠のない自信を持って入社しました。今思えばですけど、自分は何も持っていないことを無意識に分かったいたのだと思います。だからこそ意識的に虚勢を張ったのです。結果、まるでできない自分に失望し、脱落しました。
次の会社では、前回の失敗を消化できていたので、謙虚な姿勢でスタートが切れました。周囲が優秀な人ばかりで「自分は底辺だな」と素直に認められたので、加点方式の思考で仕事に取り組めました。結果、スムーズに成長できました。
最初は皆、できなくて当然なのです。できると過信すると足元を掬われます。できない前提から入ってみませんか。伸び代があることを喜びましょう。
飛び込んでみる
できない自分を愉しむという発想こそ「飛び込んでみる」そのものなのですが、知らない場所、知らない人の中で、体験したことないのをやっていこうとするのは、恐れの感情が伴います。皆、そうです。
内集団/外集団という社会心理学の概念があります。内集団は、個人が自らをそれと同一視し、所属感を抱いている集団です。それに対し外集団は「他者」と感じられる集団で、競争心、対立感、敵意などの意識が向けられる対象です。 一般に、内集団への所属感や愛着が増しその凝集性が高まるとき、それに応じて外集団への対抗心や敵意が強まるという傾向のあることが知られています。(コトバンク)
外集団への対抗心や敵意を打ち破る方法、それは、外集団へ飛び込み、そこを内集団だと感じることです。飛び込むには勇気が入ります。この勇気は、飛び込んでみて結果よかったという成功体験から醸成されます。経験を積んでも、飛び込むときは毎回やっぱり怖いです。でも、その度に、奮い立たせてみましょう。
とりあえず一歩踏み出す意味不明な勇気。成田悠輔氏の言葉は真実だと思います。
守破離
「守・破・離」とは、茶道や武道の修行のプロセスを3段階で表したものです。守は「基本や型を身につける段階」、破は「既存の型を破り発展させる段階」、離は「基本や応用から離れ、独創的かつ個性を発揮する段階」を指します。
ピカソって、絵がめちゃくちゃ上手じゃないですか。彼のキュビズム(モチーフがバラバラに描かれる特徴、色々な角度から見た同一のものを一枚の画面に描き込む革新)は、ベースにちゃんと描ける画力があってこそなのです。
型がなければ型なしです。自分らしさとは型があってこそなのです。四の五の言わずに、まずは型にはまってみるのも一手ですよ。
独りで抱え込まない
自立とは、他者を頼ることです。逆説的に聞こえるかもしれませんが、独りでやろうとすると孤立になります。自分の足で立とうとするには、他者の支えが必ず必要になるのです。そのことに気がついて、必要な力を要請できるか否か。ここが自立と孤立の分かれ目です。
支援を要求できる、つまり自分の弱みや窮地を他者に曝け出せるのは強さです。弱い自我ではこれができません。まずは信頼できる人へ、少しずつでいいので、悩みや考えていることを話してみましょう。拒否られたり茶化されることはないはずです。想いを外に出すことで自我が鍛えられていきます。大きな困難にぶち当たった時、自我を育てておいてよかったと、頑張った自分に感謝するはずです。
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