先日、高校生の息子が、自転車で下り坂を走行中に、負傷していた突き指のせいでハンドル操作を誤り、ポールに衝突し、肘から血を流した状態で帰宅してきました。聞けば頭も打ったといいます。肘は腫れていて骨折の疑いもあります。

一瞬で混乱状態に落ち入りましたね。

“ああ、どうしよう…病院行かなきゃ…ああ、でも仕事が入ってるから付き添えないや…妻は…妻も仕事か…どちらが仕事休めるだろうか…ああ俺か…仕事キャンセルしなきゃ…いや優先順位がおかしいよ…息子を最優先で考えなきゃ…病院はどこに行くのがいいだろう…頭も打ってるから総合病院か…家から遠いな…レンタカーかタクシーか…ああ、病院に電話して診察可能か聞かなきゃ…ああ、仕事のキャンセルを連絡しなきゃ…”

 考えが右往左往し…行動に移せず…1〜2分はフリーズしていました。

感情が邪魔をする

最近、ドラマ「コード・ブルー」がテレビで再放送されてますね。災害現場で救命医が全体を見渡してトリアージしていく様は格好いいです。今回の一件で、危機的状況下での冷静さは、第三者になること、つまり自分をその枠の外に置かないと発揮できないことを、ありありと実感しました。

危機の対象が息子だと、どうしても感情移入してしまいます。自分を枠の外に置くことが非常に困難でした。外科医が家族のオペを極力避ける理由がよくわかりました。感情が入ると冷静さの担保が本当に難しくなります。

Don’t Think , Just Do It.

クライシスへの事前準備や心構えを備えようと思いました。

1つ目は、行動を決めておくこと。地震などの災害時にどのような行動をするか、家族で事前に決めておきましょうと行政から呼びかけされてますよね。本当に大事なことだと思います。その状況になったら、頭で判断せずに決められた行動に移すだけ、と決めておくのです。確実に思考は混乱します。頭より体を動かすのです。

2つ目は、他者を頼り任せること。混乱した自分より冷静な他者のほうが雲泥の差ほどに上手くやってくれます。お手上げでいいのです。

ひと段落したら

息子氏は、肘の裂傷は2〜3針縫ったものの、骨折はなく、頭も軽い脳震盪とのことで、ほっと胸をなでおろしました。昼食は温かくて美味しいものを摂り、気分を上げました。昼寝もしました。こういう気持ちを切り替え行為も大切なことです。

今回、病院までは、私がレンタカーを運転して行きました。運転中も気が動転している自分を感じていました。交通事故などの二次災害の危険性があったと思います。タクシーの方がよかったと反省し、帰宅後にタクシー配車アプリをスマホに入れました。事が済んで冷静になったら振り返りをし、次に備えることも大切です。

「混乱時は冷静な判断はできない」という前提に立ち、決めておいた行動をする、第三者に委ねることで、対処していくことにします。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。

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