ハラスメントは良くない事と誰もが認識しているのに、なぜ発生してしまうのか。人が不正を行うのは「機会」「動機」「正当化」の3つが揃っている時といわれており、職場という環境は、悲しいかな、これが成り立ちやすいのである。

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要因が特定できれば対策を考えられる。「機会」は、研修などを定期開催して、権威を有する危うさを訴え続け、裸の王様にならないよう注意喚起していきたい。「動機」「正当化」は心理カウンセリングも有効であろう。ストレス・マネジメントや偏った認知の変容などは、心理士と一緒に取り組んだほうがいい内容である。専門家を頼ってみてほしい。

傍観者効果

もし職場でハラスメントが行われていた場合、我々はこのクライシスに対して行動がとれているだろうか。その場に割り込んで制したり、行為者に対して注意ができるだろうか。見てみぬふりをしていないだろうか。関与しないという肯定的な態度をとっていないだろうか。恥ずかしい話、私自身を振り返ると、かなり疑わしい。

傍観者効果という社会心理学用語がある。これはある事件に対して、自分以外に傍観者がいる時に、率先して行動を起こさなくなる心理である。発生要因は以下の3つの観念で説明される。傍観者が多いほど、その効果は強力なものになる。

多元的無知
 
他者が積極的に行動しないことにより事態は緊急性を要しないと自己判断する
責任分散
 
他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
評価懸念
 
行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

参照:Wikipedia

https://note.com/embed/notes/n7bd634f4a706

傍観者効果を打ち破り、火中の栗を拾う勇気をみせた社員には賛辞を贈ろう。ハラスメントに対して、注意していい、注意されたら直す、という雰囲気を全員で作り上げていきたい。

ハラスメントを起こさないための基本姿勢

結局のところ、明らかにハラスメントと言えそうなものを除けば、何がハラスメントかの判断は難しく一律には決められない。これがハラスメントの難しいところでもある。

我々がやれることは、①常識的に考えて、これを言われたら相手は嫌だろうな、これをされたら相手は嫌だろうなという事をしない。②相手およびその言動・思考・意見を尊重する。③相手の年齢や社内の立場がどんなものであろうと、リスペクトしつつも対等性を感じておく、ということである。どれも至極当然な事項なのだが、これが以外と難しいものである。

共通認識をつくり、遵守することで、心理的安全性の高い職場を目指したい。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。

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