日頃から睡眠を意識できているだろうか。健康には食事やら運動やら色々必要だが、一番大事なのは?と問われたら、私は「睡眠」を挙げるだろう。



睡眠の役割

睡眠は、生活を営んでいくうえで重要な、意欲と行動量、情緒的な安定をもたらしてくれる。

逆に言えば、睡眠がイマイチだと、QOL(生活の質)が低下する。仕事のパフォーマンスにも影響が出るだろう。睡眠は脳や身体の回復に重要な役割を果たすため、睡眠不足は集中力や判断力の低下を招き、ミスも増える。

例えば私の心理士という仕事は、他人様の人生や生死に関わっていくもので、心理士自身にある程度の安定感がなければ、対人支援どころか、当人のメンタルが崩壊していく危険性を孕んでいる。そういう意味では会社員仕事のほうが楽だったな。コンディションつくりも仕事の一環である。

とはいえ心理士も人間である。四六時中ととのっていられるほど聖人君子ではない。職場の人間関係、責任感のプレッシャー、心理カウンセリングの場面で傷つくことも往々にしてある。必要なのは、多角的な対処法(ストレスコーピング)を持つことと睡眠である。その日の傷はその日のうちに、寝ることで癒しておきたい。

良眠戦術

不眠経験のある人は眠れない苦しさを知っているだろう。眠れている時は寝るための工夫など意識しないが、寝れてる今を当たり前と考えず、よりよい睡眠のために、やれそうなことから取り組めるといい。


参考:山口市こころの健康情報サイト(https://www.city.yamaguchi.lg.jp/site/kokorohot/)

なかでもお勧めしたいのは「明日やることは明日のスケジュール帳に書き出して、今日から切り離してしまう」という行動である。

人間は、不安ごとがあると、気がそっちに持っていかれる。不安は不確かな未来を想うと現れる。頭の中で連鎖し円環し抜け出せなくなる。そこで、とりあえず明日のことは言葉に書き出して頭の外に置いてみる。明日起きたらこれをやればいいという状態にすることで、ある種の安心感が得られるはずだ。

自律訓練法

心理臨床的な手法としては、入眠時の自立訓練法がお勧めである。

自律訓練法とは、自己暗示の練習によって、段階的に全身の緊張を解いていくリラクセーション法である。中枢神経や脳の機能を調整して、本来の健康な状態へ心身を整えることを目的とする。心療内科における代表的な治療法として広く使われている。(厚生労働省 e-ヘルスネット)

参考:大阪府こころの健康総合センター  https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/19719.pdf

入眠時の自律訓練法はよく効く。ただし、感覚を習得するまでに練習が必要である。最初はうまくできなくても、継続的に行ってみてほしい。

仕事と睡眠

日本経済新聞「仕事ができる人に共通〜睡眠の質上げる習慣トップ5」記事で、仕事ができる人ほど睡眠を意識していることが紹介されている。

https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO48071300R00C19A8000000

仕事や生活の質と睡眠の関係に、気がついている人は気づいているし、更に高める工夫も行っている。彼らを見習い、我々も睡眠への意識を高めていこう。


cocoro no cacari|大塚紀廣

1976年千葉県生まれ。大学卒業後、第二新卒で(株)リクルートに入社、国内旅行情報じゃらんを担当した。その後同グループであった(株)ゆこゆこへ籍を移し、人事部で人材採用、社員研修の企画運営、ストレスチェック実行者等を担当した。40歳で退社し、臨床心理学大学院へ進学。修了後は東京大学医学部付属病院老年病科、都内のメンタルクリニック等で心理士業務に就き、現在に至る。専門は高齢者臨床と産業心理。趣味はロードバイク、サッカー、ジェフ千葉、漫画、温泉など。

0件のコメント

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です